飲食・食品事業の衛生ルール解説
HACCP義務化・食品衛生法がよくわかる

ここでは、HACCP(ハサップ)、一般的衛生管理プログラム、食品衛生法など、
飲食・食品事業の衛生ルールについてわかりやすく解説します。

法令・ルールを知らずに意図せず違反状態を放置してしまうと、適切な衛生状態が維持できず、
「顧客の流出」「風評被害」「信用低下」、さらには「罰則処分(懲役・罰金)」「営業停止処分」を招くリスクが発生します。
まずは、法令・ルールを正しく理解し、自社店舗がきちんとした衛生管理ができているかチェックしてみてください。
目前に迫っている、HACCP(ハサップ)の全食品関連事業者への義務化についても解説します。

  • HACCPがよくわかる解説
  • 一般的衛生管理プログラムがよくわかる解説
  • 食品衛生法がよくわかる解説

HACCPがよくわかる解説

国際基準の食品衛生ルールHACCPについて基本的なポイントからわかりやすく解説します。

■ HACCP(ハサップ)とは何か?義務化とは?

HACCPとは、ひと言でいうと食品の安全管理の手法の一つです。Hazard Analysis and Critical Control Point(危害分析に基づく重要管理点)の略で、食品の生産、製造、流通などの一連のプロセスの中で、安全を脅かす可能性のある危害要因を考え、その危害要因を防ぐ要となる工程を重要管理点として定め、その工程を適切に管理することで食の安全を守る手法を指します。

現在国内では食品製造業を中心に導入している企業がありますが、米国やEUでは、飲食事業も含め、食品を取り扱う事業者全てに対して義務化されています。国内でも国際標準化を目指して、全ての食品取り扱い事業者に対して義務化されることが決まっています

現時点では、国内ではHACCPは認証制度となっており、認証機関によって認証を受けた事業者がその旨を表示することができるというものになっています。

HACCP認証制度の種類

  • 総合衛生管理製造過程承認制度(通称「マル総」)
  • HACCP支援法の指定認定機関による認証
  • 対EU、対米、対中国、対露輸出水産食品
  • 水産食品加工施設HACCP認定制度(国内向け認証制度)
  • AIBフードセーフティ(GMP)指導・監査システム
  • ISO22000・FSSC22000
  • 地域認定HACCP

■ HACCP義務化はいつから?

HACCPの義務化は、現時点では2020年の東京オリンピック・パラリンピックの頃までの制度化が目指されています
従来HACCPを導入していなかった事業者さまや導入していても徹底しきれていない面があった事業者さまなどは、それまでにしっかりと準備を進める必要があります。

■ HACCP義務化の具体的な内容は?

義務化に際しての詳細な法令制定・改正内容は未定ですが、基本的な考え方や方向性としては以下のことが決まっています。

1.「一般的衛生管理プログラム」の着実な実施が必須

HACCPを導入する際の前提として、まずは衛生管理の基本、つまり、施設設備の衛生管理、食品取り扱い者の健康・衛生管理などの「一般的衛生管理プログラム」を着実に実施することが必須となります。(一般的衛生管理プログラムがよくわかる解説
その上でHACCPによる衛生管理手法を適用することになります。

2.「衛生管理計画」の作成が必須

全ての食品事業者は「衛生管理計画」の作成が必須となります。
衛生管理計画は、食品などの製造・加工・調理などを行う施設ごとに、一般的衛生管理プログラムとHACCPによる衛生管理について作成します。

3.衛生管理計画書の作成基準は業種によって大きく2種類

衛生管理計画書を作成するにあたっては、業種によって「基準A」と「基準B」の2種類の作成基準が設けられます
基準Aは主に食品製造事業を対象としています。
基準Bは、HACCP7原則に基づく衛生管理が容易ではないか、あるいは必要ではない、小規模事業者や飲食事業者などのためのものです。

衛生管理計画書の作成基準は2種類
基準A

一般的衛生管理プログラム

HACCP7原則に基づいて作成

一般的衛生管理プログラム+HACCPの7原則に基づいた衛生管理
基準B

一般的衛生管理プログラム

必要に応じ、HACCPの考え方に基づいた
重要管理点を定めて作成

一般的衛生管理プログラム+事業者の実績を踏まえた手引書などを参考に、必要に応じて重要管理点を設けて管理
基準Bの対象事業者
  • ●小規模事業者
  • ●当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理施設
    例)菓子製造販売業、食肉販売業、魚介類販売業、豆腐製造販売業、弁当調理販売業等
  • ●提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種
    例)飲食店、給食施設、そうざい製造業、弁当製造業等
  • ●一般衛生管理による管理で対応が可能な業種
    例)包装食品の販売業、食品の保管業、食品の運搬業等

※衛生管理計画書の作成基準に関する解説は以下の内容に基づきます。
『食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス(第1版)』平成29年3月17日 厚生労働省医薬・生活衛生局
生活衛生・食品安全部監視安全課

■ HACCPの中身を理解する - 7原則・12手順とは?-

HACCP義務化後、主に食品製造事業などの基準Aに該当する事業者はHACCPシステムの適用が必須となります。
また、小規模事業者や飲食店・小売店などの基準Bに該当する事業者も必要に応じてHACCPシステムの考え方に基づいた衛生管理が求められます。
ここでは、HACCPの中身について基本的な内容を解説しますのでぜひご覧ください。

HACCPには、これを自社の製品に適用するための原則と手順があります。
これを「7原則・12手順」と呼び、これに沿って自社の製品に合ったオリジナルのHACCPシステムを構築して運用します

HACCPシステムの7原則

  • 原則1

    危害分析

  • 原則2

    重要管理点の決定

  • 原則3

    管理基準の設定

  • 原則4

    モニタリングの方法

  • 原則5

    改善措置の設定

  • 原則6

    検証方法の設定

  • 原則7

    記録の維持管理

HACCPシステムを適用するための12手順

  • 手順1HACCPチームの編成

    HACCPシステム適用の動きを取りまとめる担当者を決めます。1名でもOKです。

  • 手順2製品についての記述

    自社の製品に関する情報を表などに書き出します。

    ● 製品の名称及び種類
    ● 原材料・添加物の名称
    ● 製品の特性(Aw、pHなど)
    ● 包装形態、単位、量
    ● 容器包装の材質
    ● 消費期限、賞味期限、保存方法

  • 手順3使用についての確認

    製品が食される方法、対象消費者を今一度確認します。
    (例)
    ● 加熱して食べるものか、そのまま食べるものか。
    ● 一般の消費者が食べるのか。乳幼児、高齢者などが対象か。

  • 手順4製造工程一覧図、施設の
    図面及び標準手順書の作成

    原材料の受け入れから保管、製造・加工、包装、出荷までの流れがわかるよう、製造フロー図、各工程の作業手順書、製造施設内の配置がわかる図面を作成します。
    温度・時間なども書き込むと良いでしょう。

    製造工程一覧図、施設の図面及び標準手順書の作成

  • 手順5現場確認

    手順4で作成した図面や手順書に誤りがないか、実際の現場の状況と照らし合わせて確認します。

  • 手順6危害分析
    - 原則1 -

    製造工程ごとにどのような危害要因(健康に悪影響を及ぼす原因)が潜んでいるか考えます。

    危害分析

  • 手順7重要管理点の決定
    - 原則2 -

    危害要因を予防・除去・許容範囲まで低減させるために、特に厳重に管理する必要がある工程を重要管理点(CCP)として定めます。
    (例)
    ● 加熱殺菌工程
    ● 冷却工程
    ● 金属検出工程

    重要管理点の決定

  • 手順8管理基準の決定
    - 原則3 -

    重要管理点を管理する際に、安全か否かを区別するためのモニタリング基準を決めます。
    (例)
    ● 温度の計測箇所
    ● 最低加熱温度
    ● 最低加熱時間

  • 手順9モニタリング方法の設定
    - 原則4 -

    重要管理点でのモニタリングの担当者、観察・測定手段、頻度を決めます。モニタリング結果は記録をとります。
    (例)
    「加熱係が自記温度記録計で連続的にモニターしながら2時間毎に温度を目視チェックする」

  • 手順10改善措置の設定
    - 原則5 -

    モニタリングの結果、管理基準を逸脱した場合は改善措置を講じます。改善措置は記録をとります。

    1. 基準を達成しなかった製品を区分けする
    2. 機械などの故障の原因と特定し、復旧させる
    3. 温度計やタイマーなどを校正する
    4. 区分けした成否の処分(廃棄など)を決める

  • 手順11検証方法の設定
    - 原則6 -

    HACCPシステム全体の検証(妥当性確認・定期的な見直し)と重要管理点ごとのHACCPプランの検証(モニタリング測定器の校正、中間・最終製品の試験検査など)を行うため、その方法(担当者、内容、頻度、記録方法、検証結果の点検者)を定めておきます。検証は記録をとります。

  • 手順12記録の維持管理
    - 原則7 -

    モニタリングの実施記録、改善措置の実施記録、検証の実施記録、一般的衛生管理プログラムの実施記録など、HACCPの実施記録は1年以上、保存責任者を指定して保管します。

HACCPの考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き ~飲食店編~

上記のHACCPの解説は主に食品製造業向きの内容となっておりますが、より飲食店に即した解説として、HACCPの考え方を飲食店の食品衛生管理に当てはめた場合の案内資料が、厚生労働省から公開されています。
『HACCP(ハサップ)の考え方を取り入れた食品衛生管理の手引き(飲食店編)』 [PDF 7,915 KB]
(見開きページがあるため印刷していただくとより見やすいです。)

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一般的衛生管理プログラムがよくわかる解説

食品を取り扱う事業では必須となる一般的衛生管理プログラムについてわかりやすく解説します。

■ 一般的衛生管理プログラムとは?

一般的衛生管理プログラムとは、HACCPシステムによる衛生管理を効果的に機能させるために実施する、基本的な衛生管理項目のことを言います。Prerequisite Program (直訳:前提として要求されるプログラム)、略してPPと呼ばれます。
一般的衛生管理プログラムの内容は、例えば、施設・設備の構造作り・保守点検・衛生管理、機械器具の保守点検・衛生管理、従業員の衛生教育などに関わる事項です。

一般的衛生管理プログラムは、米国やEUの定めるものなどさまざまありますが、国内では厚生労働省の定める「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」がこれに該当します。

■ 一般的衛生管理プログラムとHACCPの役割の違い

一般的衛生管理プログラムとHACCPの役割の違いをわかりやすくすると次のような図になります。

HACCPと一般的衛生管理プログラムの役割の違い

HACCPシステムで重要管理点の管理(例えば、肉の加熱調理)をしっかり行ったとしても、製造環境の衛生管理ができていない(例えば、害虫が発生している)場合や従業員の衛生管理が疎かになっている場合(例えば、手の消毒が徹底されていないなど)は、食品の安全性を確保することはできません。

つまり、一般的衛生管理プログラムは、製造環境による汚染を予防し、製造工程での重要管理点の管理に注意を集中させられるようにする役割を担います

また、一般的衛生管理プログラムは、飲食事業や食品販売事業など、HACCPシステムを直接的に導入しない場合でも、調理・提供・販売環境による汚染を防止し、食品の安全を守る役割を果たします

■ 一般的衛生管理プログラムの要件

一般的衛生管理プログラムには以下の要件が求められます。

一般的衛生管理プログラムの要件

■「一般的衛生管理プログラム10項目」について、作業内容、実施頻度、実施担当者、実施状況の確認、記録の方法を記載した文書(「衛生管理の方法に関する文書」)を作成すること
■従事者に遵守させること
■記録などによって衛生管理状況を確認すること

一般的衛生管理プログラム10項目

1施設設備の衛生管理

2従事者の衛生教育 ※マニュアル必須

3施設設備および機械器具の保守点検

4そ族(ネズミ)・昆虫の防除

5使用水の衛生管理

6排水および廃棄物の衛生管理

7従事者の衛生管理

8食品等の衛生的取り扱い

9製品の回収方法

10製品の試験検査に用いる機械器具の保守点検

<留意するポイント>
■「3 施設設備および機械器具の保守点検」「5 使用水の衛生管理」「8 食品等の衛生的取り扱い」「9 製品の回収方法」には、停電などの突発的事故への対応も定める。
■「9 製品の回収方法」には、回収の責任体制、施設を管轄する都道府県などへの報告についても定める。
■ 食品衛生法第1条の3第2項により、記録の作成・保存が必須。

一般的衛生管理プログラムは衛生管理の基本的な内容ではありますが、不十分な管理体制や人手不足、
知識・技術不足によって徹底しきれていないケースは多くあります。
HACCP義務化に伴って一般的衛生管理の徹底も必須となるので、今一度衛生管理の体制を整えていくことが重要です

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食品衛生法がよくわかる解説

食品を取り扱う事業者に対して規制を定めた食品衛生法についてわかりやすく解説します。

■ 食品衛生法とは?

食品衛生法は、食の安全と国民の健康を守る目的で定められている法律です。食品製造事業、飲食事業、食品販売事業など食品を取り扱う事業者に対して、営業許可や施設基準、食品の規制などを規定しています。

営業停止処分や罰則規定も定められており、違反すると最高で3年以下の懲役または3百万円以下の罰金に処せられる可能性があります

■ 食品衛生法で重要なポイント

ここでは、食品衛生法の規定の中でも、特に事業者さま自身でコントロールすることが難しい「ネズミ・害虫の防除」や「ネズミ・害虫による異物混入防止」に関わる規定を取り上げながらポイントを解説します。

point 1

ネズミ駆除・害虫駆除、予防処置の定期的な実施が必要

食品衛生法を遵守した施設環境づくりをするには、ネズミ駆除・害虫駆除、予防処置を定期的に実施することが不可欠です。
このことは、食品衛生法(第50条)と各都道府県の条例によって右記のように規定されています。

ネズミ駆除サービスのご紹介 害虫駆除サービスのご紹介
食品衛生法と各都道府県の条例による規定
point 2

ネズミ駆除・害虫駆除、予防処置の記録・保管が必須

ネズミ駆除・害虫駆除、予防処置については、実施内容を記録し、その記録を1年間保管することが必要となります。こちらは、食品衛生法に基づく各都道府県の条例※に規定されています。

※各都道府県の条例の例:東京都食品衛生法施行条例 別表第一(第二条関係)の第二(衛生措置)の三(ねずみ族、昆虫等の対策)の(三)

弊社は、食品衛生法や関連条例の基準に適したネズミ駆除・害虫駆除、予防、衛生管理サービスをご提供しています。
ご質問やご相談などを受け付けておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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